こちらが今回の方法で撮影したStereoscopic VR動画です。スマートフォンでYoutubeアプリとcardboard等を使用して見ていただけると立体視可能な前方を見渡せるVR表示となります。Youtubeアプリで閲覧する場合は、動画のタイトルを長押しして”YouTube”で開くからご覧ください。
*標準状態では解像度が小さく設定されてしまう為、右上の三点ドットのアイコンを押して、画質を2160sに手動で設定すると4Kでの表示になります。cardboardアイコンを押すとVR表示が始まります。サイズが大きいので、WiFi環境下での閲覧をオススメします。
前方の視界のみとなりますが、立体視可能な視差をもったステレオVR動画作成例について紹介します。
今回使用したのは、Entaniya様の製品である2Cam 250完組セットZ250K(相当品)です。
本来この製品は背中合わせで使用するBack to backの撮影用の製品ですが、取り外して右目と左目に相当する箇所に設置する事でステレオでの撮影が可能となります。また、250度の範囲が撮影できるのである程度見渡す事のできるVR表示が可能となります。
人間の目の間の距離を瞳孔間距離(IPD: Interpupillary distance)と呼びますが、この距離を今回はおおよそ63mmとして設定しました。IPDを約63mmとしてカメラが二台固定可能な雲台に取り付けます。
なるべく平行になるように取り付けができたら動画を撮影します。GoProの録画設定は4K 30(29.97)フレームを選択しています。左右のGoProの録画ボタンを同時に押して撮影を開始します。撮影の最初の部分に、左右の同期を取る為のクラップ音を手の動きと共に入れておきます。撮影が終了したら左右のGoProの録画ボタンを再び同時に押して撮影を終了します。
撮影ができたら、左右のGoProの動画をそれぞれパノラマ展開が可能なソフトウェアのAutoPanoでEquirectangular形式に展開します。250度の視界のみとなりますので、範囲外は黒い表示となります。左右でなるべく同じ見え方になるように展開します。
左右の動画をそれぞれTop and BottomかSide by Sideに配置する事で立体視可能なステレオ動画となります。今回はTop and Bottomで作成します。
動画編集ソフトPremiereにて、プロジェクトを新規作成し、左右の動画を取り込みます。それぞれの動画のエフェクトコントロールのスケール(高さ)を50.0として縦を半分のサイズにします。同様にエフェクトコントロールで位置を(2048.0,1024.0)からLを(2048,512)、Rを(2048,1536)へと変更して上下に並ぶように配置します。
*今回はH.264(level5.1)で作成した為に仕様上4096×2048が最大のようで、4Kx4Kではなくこのように配置しています。
最初に入れておいたクラップ音と手の動きを見ながら、左カメラと右カメラの映像のタイムラインの位置を合わせます。
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左のカメラからは右のカメラ、右のカメラからは左のカメラが写ってしまい、この部分は大きく破綻して見づらい為、マスクを作成して一番上のレイヤーに配置します。
音声はモノラルですが、複製されてL/Rのトラックとして記録されています。音声編集ソフトのAuditionにてLカメラの音声のR側、RカメラのL側を無音化してそれぞれのカメラのマイクを左右で使用してステレオ音声としています。この時音量に大きな差がある場合にはゲインの調整で大きさを合わせておきます。
4Kとはいえ、拡大して視聴するためビットレートは高めに最大50Mbpsとして書き出しを行います。
完成した動画をOculus riftのVideo PlayerやGear VR等で閲覧するには、ファイル名と拡張子の間に_TB_360を入れておきます。
YouTubeにアップロードして閲覧する場合は、Spatial Media Metadata Injector.exeにてspherical(360)とstereoscopic 3D(top/bottom layout)にチェックを入れ、メタデータを入れてからアップロードします。
左右の動画の位置や歪み方があまりにもずれていると立体視ができない動画となります。見え方の違和感が大きい場合にはPhotoshopに静止画を書き出して上の画と下の画を比較し、AutoPanoでの展開を再調整したり、Premiere上でのLとRの動画の位置や角度を再調整します。今回はおおまかに雲台へ設置したのでかなりずれてしまっていますが、左右のカメラが平行でずれにくいリグを作っておくと後調整が楽になります。