国際的なパノラマ写真アソシエーションのIVRPA(the International VR Photography Association)が開催する写真会議に参加してきました。この会議は、世界各国のパノラマ写真家やパノラマソフトウェア制作会社が年に1度集まり、最新のパノラマ制作ノウハウや最新の製品情報を発表し、パノラマに関する情報を共有する場となっています。
2016年は6月23日〜27日の間、カナダのケベックシティで開催され、約150名ほどの参加者が来訪していました。
以下、その中で印象に残った発表についてご紹介いたします。
まずはGoogleです。Googleが取り組んだ事例紹介から始まりました。教育機関向けVRツール「Expeditions」のプラットフォームを使い、Cardboardを無償で世界各国の教育機関に提供し、教室にいながら「バッキンガム宮殿」や「グレートバリアリーフ」といったVR体験できる取り組みの紹介です。
次に、今後のVRへの取り組みとして、Google I/O Conference 2016でも発表されたVRプラットフォーム「Daydream」についての紹介がありました。DaydreamではVR体験を向上させるために、「スマートフォン」「ヘッドセット&コントローラー」「アプリ」の3つに取り組んでいるとの事でした。
Androidの次世代バージョン「Android N」では標準でVRモードが搭載され、VRをOSレベルでサポートします。様々なサービスや表現方法が増えていき、ハイクオリティなVR体験がより身近な存在となることに期待です。弊社でもDaydreamプラットフォームを活用して貢献できることを検討していきたいと思います。
ウェブでパノラマを上下左右に動かしながら閲覧するためにはパノラマに対応したプレイヤーが必要となり、Krpanoは最も広く知られているパノラマビュワーです。今回の講演ではkrpanoの基本的な使い方やxmlプラグインの作り方など多岐に渡る機能がワークショップ形式で紹介されていました。
Gopro6台を使用する新製品OmniやAutopano Video 2.5の紹介が行われました。Omniは8Kまで撮影する事ができ、各カメラの同期がとられ、シームレスな360度映像を作成する事ができます。またAutopano Video 2.5では、Adobe premiereのプラグインが追加され、premiere上で水平調整やフレームサイズを調整する事が可能となりました。本機能追加でエクレクタンギュラー形式(360度動画の一般的な形式でアスペクト比が縦横2対1のサイズ)の状態から水平調整ができる様になり、後編集がより容易になりそうです。
更にVR体験を向上させるモダンエンジンが開発中で、ブラウザで動くオープンソースが2016年Q4に公開される予定と発表がありました。講演では画面に2人のレーサーが現れ、選択したレーサーの視点でパノラマ動画が再生されました。再生中にはもう1方のレーサーに切り替える事もでき、2つのパノラマ動画をマルチ再生するコンテンツとして紹介されていました。
現在、開発中のモダンエンジンとのことで今後どのような機能が追加されていくのか楽しみです。
初日にはDiscover Quebecと称してケベックシティ内を散策しながらパノラマ撮影を行なったり、Google Street Viewに関する講演や各社のパノラマ写真事例が次々と紹介され、刺激のある1週間となりました。また、IVRPA主催者が企画したモンモランシーの滝へのツアーも開催され、迫力ある滝の様子をこちらのページでケベックシティの街並みと共に紹介していますので合わせてご覧下さい。