2014年5月25日から31日にアメリカはラスベガスで開かれたLas Vegas 2014: The International VR Panoramic Photography Conference (国際バーチャルリアリティー写真会議)に参加してきたのでご報告したいと思います。この会議は去年はIceland 2013としてアイスランドで開かれ、そのレポートはこちらにあります。今回も昨年同様約150人の参加者が集まりました。開催地がアメリカということで、GoogleやMicrosoftといった巨大IT企業も参加してたのも今回の特徴でした。
発表者の割合は以下の通りで、この発表構成や会議名からもパノラマ制作の最新ノウハウ・最新製品の情報交換の場と理解できると思います。会場で発表を聞きながら、各聴衆のマシンではパノラマ写真編集やパノラマ動画合成のソフトが動いているというのもこの会議の特徴かと思います。
・パノラマ写真家・360度動画作家:50%
・パノラマソフトウェア制作会社:25%
・パノラマハードウェア制作会社:10%
・Google・Microsoft:10%
・その他:5%
以下では、発表の中でも特に弊社としてチェックしたものをリストアップしてみました。
xRez Studioはディズニーやソニーで映像制作を行っていたデザイナーと、博物館向けに立体映像を提供していた写真家によって構成されているアメリカの制作スタジオです。制作している作品がどれも高品質でアーティスティックなもので、感情を揺さぶる映像でした。同社のFullDome Theatre Produtionのページではドームへのパノラマ動画投射のデモビデオも掲載されています。
Deep Incはカナダの映像・ゲーム制作会社で、様々な作品にパノラマ動画を上手に利用していることで聴衆の関心を集めていました。彼らのウェブサイトには辺境地で撮影したパノラマ動画のデモが掲載されているのとともに、Flipboard向けのコンテンツ360 Filmmakingも載っていましたので、これらを参照されると面白いかと思います。
Shadowview財団は無人航空機を使用して野生動物の監視等に取り組んでいるオランダのNGOです。スタッフにはプロの写真家や無人航空機を担当していた退役軍人なども所属しており、密猟や動物保全等の活動をされています。今回の発表では、アフリカの自然で空中パノラマ(Drone 利用)と地上パノラマを撮影して、その間を行き来出来るパノラマツアーを披露していました。ハイテクなNGOというのが面白いですね。
Matterportは専用機械やスマートフォンを使って空間を3Dスキャンするシステムを研究開発しているアメリカのベンチャーです。これまで空間のスキャンをするには測量会社が使用しているような数百万円-数千万円する3Dスキャナーが必要でしたが、Matterportは4500ドルでMatterport Pro 3D Cameraを販売しています。また、専用の3Dスキャナーだけでなく、スマートフォンでも同様のことを出来るようにと、GoogleのProject Tangoにこの会社が参加していることは最近日本のメディアでも発表されて有名になりました。
Googleはお店フォトなどのBusiness向けソリューションの説明、MicrosoftはPhotosynthのデモ、KolorやVideostitchはパノラマ関連ソフトウェアのアップデートの紹介、リグメーカーのFreedom360や360Herosはいろんな場所でのパノラマ動画撮影やその際のノウハウ紹介をしていました。これら一般的なパノラマ関連製品の概要は去年のレポートをご参照下さい。
このような発表の中で、当社は”PANOPLAZA: PANORAMAS FOR SHOPS, FACILITIES, & MOUNTAINS“と題して、CTOの内田が発表をしました。Panoplazaでのこれまでの各百貨店での取り組み、北米マーケットでのBrowsewellの展開、現在開発を進めている新業界向けPanoplaza、そして山脈監視用の超高解像度パノラマ撮影装置等を紹介しました。他の発表が作品性の高いものや、完成されているソリューションの紹介が多かったのに対して、まだ研究開発中の技術的な話題も多くさせて頂きました。
来年のIVRPAのイベントはデンマークで予定されているらしいので、パノラマやバーチャルリアリティーにご関心のある方は参加を検討されてはいかがでしょうか。また、今年の9月3日-5日にフランスのパリではPanoTools Meetingという類似イベントも開催されるそうなので、来年まで待てない!という方にはこちらもお勧めです。