今回はパノラマ静止画・動画とジャーナリズムの可能性に注目します。
技術の発展は、ジャーナリズムの形も変えてきました。マルチメディアジャーナリズムはどのような歴史を辿ってきたのでしょうか。ジャーナリズムとは、新聞やテレビ、ラジオを通して一般大衆に時事的問題を報道・解説する活動のことを指します。
・新聞は1868年に、ラジオは1925年にテレビに先駆けて始まりました。
・テレビは、第二次世界大戦が終焉した8年後の1953年に始まりました。
従来のジャーナリズムは、18世紀以降の民主主義社会に誕生してから、政治や行政の意思決定者が透明性を維持するために社会の番犬として存在意義を示してきました。
インターネットメディアの誕生がジャーナリズムに変化をもたらしたのは、1990年代に入ってからです。今や全世界に広がるYahooサービスは1994年に始まり、様々なポータルサイトが次々と誕生しました。同時期の1995年には、朝日新聞がニュースサイトasahi.comを開設しました。こうしたネットメディアの普及は、新聞の発刊数現象や、活字慣れを引き起こしています。
2011年のジャスミン革命などの民主化デモは、ITメディアの果たした役割が大きいことを裏付けています。また、20代の国民の7割がニコニコ動画のユーザーであるというデータが示すように、現在は個人が情報を収集し発信するというパーソナルメディアの時代へと突入しているのです。
パノラマ静止画・動画を利用したジャーナリズム(パノラマジャーナリズム)は、撮影対象の上部や背部も一度に見ることを可能にします。つまり、「見えない」を「見える」に変えてしまうニューメディアなのです。事件報道を例にパノラマジャーナリズムの可能性を考えてみましょう。
第一に、人件コスト削減の可能性が考えられます。動画リポートでは、現地の状況を言葉で伝えるリポーターとその動画を撮影するカメラマンがいますが、パノラマ動画では1人での撮影・リポートが可能になります。
第二に、従来メディアでは制作者の意図によって「切り取られた」映像が視聴者に伝達されるのに対し、パノラマジャーナリズムは、発信者の現場・状況がそのままパノラマ動画に反映されます。このように、パノラマジャーナリズムは視聴者への伝達の程度を高める効果が期待できます。加えて、事件に遭遇した一般大衆もパーソナルメディアとして情報発信することができるかもしれません。
(テストとして、紅葉レポートを社内でやってみました!)
まだまだ既存メディアの果たす役割が大きいですが、パノラマ写真・動画といったマルチメディアを駆使したジャーナリズムは、既存のマスメディアジャーナリズムの領域に徐々に及んでいくことでしょう。一緒にパノラマ動画を使って時代の先駆者になりませんか?