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AIを活用した映像制作のテストと可能性

2025
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はじめに

近年、AI技術の進化により、映像制作の在り方が大きく変化しています。特にK-POPをはじめとするMV制作において、AIを活用したコンテンツが増えており、より高品質で個性的なビジュアルが追求されています。本記事では、生成AIを活用した映像制作のプロセスとその可能性について紹介します。
※2024年12月~2025年01月時点


MV制作におけるAIの活用

1. 制作フローの検討

通常のMV制作における、一般的なフローは以下の通りです。
 1.楽曲作成&分析
  
歌詞、メロディー、リズム、テンポを分析。
 2.ストーリー設定
  
MVのコンセプトや物語、キャラクター設定を決定。
 3.世界観設定
  
建築物、ファッション、カラーなどのリファレンスを集め、チームで統一感を持たせる。
 4.映像制作
  
カット割り、絵コンテ/Vコンテを作成し、動画生成後に編集を行う。

今回のAI映像制作フローもおおよそ変わりはありませんが、以下の通り設定し、実行しました。
 1.歌詞・楽曲生成
  
歌詞を生成後、SUNO AIで楽曲を生成。
 2.ストーリー+世界観設定
  
MVのコンセプトや物語、キャラクター設定を決定。
  建築物、ファッション、カラーなどをPinterest等でリファレンスを集める。
  必要があればMidjourneyで画像を生成する。
 3.映像制作
  
カット割りやコンテは作成せず、動画生成後に編集を行った。

2. 楽曲生成

AIツール「SUNO」を使用し、ChatGPTより生成した歌詞を元にK-POP風の楽曲を作成。複数のバリエーションを比較し、最適な楽曲を選択した。
音質の向上やステム分離には「Ultimate Vocal Remover」を活用。
曲名は”Echo7light” ※ChatGPTにより命名

生成楽曲①
https://suno.com/song/5b8523c7-29e9-4eeb-be98-74c17b15cee2
生成楽曲②
https://suno.com/song/65480018-60cf-4c0b-a0cc-981a4060c5b8
生成楽曲③
https://suno.com/song/5b8523c7-29e9-4eeb-be98-74c17b15cee2
生成楽曲④
https://suno.com/song/8db05ac0-fda1-4e1f-a372-01d0eae366bb
生成楽曲⑤
https://suno.com/song/7e1eb66d-28c1-436e-a6f5-18fa05213902
最終候補①
https://suno.com/song/e51152ff-b13a-42f4-bb68-e491ba63cc44
最終候補② ※こちらを採用
https://suno.com/song/3f0ad17c-0a9f-4c4c-93e4-1f47ed17062b

AIによる動画生成の比較

比較した動画生成AI

  • Runway(米国製の動画生成・編集ツール)
  • Vidu AI(中国・清華大学が開発)
  • Hailuo AI(中国MiniMax製)
  • KLING(中国Kuaishou製)

比較結果

  • KLINGが最もMVらしい映像を生成。
  • Runwayは背景の破綻が目立つ。
  • Vidu AIはカメラワークが弱い。
  • Hailuo AIは不安定で制御が難しい。

比較方法

①Midjourneyにて元画像を作成

②それぞれの動画サービスに、同じプロンプト、画像で入力する。
 ※各ツールのパラメータはデフォルト設定のまま使用

Freestyle dynamic camera movement: The camera moves fluidly around a silhouetted woman standing in front of sheer curtains, capturing dramatic lens flares as the sunlight streams through. The setting evokes a retro cinematic aesthetic with muted tones, soft light, and a nostalgic atmosphere. The woman’s delicate lace dress and her motionless, contemplative pose add an air of mystery. cinematic retro footage

③出力された映像を比較
 ※AIツールは試行回数を増やすことで精度が向上するが、コストがかかる点も考慮する必要がある。

MVの世界観・ストーリー設定

AI映像制作では、Surreal(シュール)な世界観が人気。(よく見る)

  • 楽曲に合わせてダークでクールな雰囲気を出すため、Midjourneyでリファレンス画像を生成。
  • KlingAIで動画生成&リップシンク調整。
  • シーンごとに試行錯誤しながら映像を制作。

MV制作における課題と対策

課題

  • AIツールの依存度が高い → サーバーダウンなどで作業が停滞。
  • カメラワークの指定が難しい → 静止画と異なり、動的な演出が不安定。
  • 試行回数によるコスト増加 → 生成クレジットが必要。
  • 細部のディテール表現が弱い → 衣装やブランド品の再現が難しい。

解決策

  • 複数のAIツールを組み合わせる → 依存リスクを分散。
  • カメラワークを詳細に指定する → 絵コンテや、リファレンス画像を適切に検討。
  • 試行データを蓄積・共有 → 効率的な制作ワークフローを構築する。

MV制作の生成AIサービスコスト

Midjourney 5000円、SUNO 1500円、KlingAI 4500円、合計11,000円

まとめ

AIを活用した映像制作は、従来のMV制作に比べて低コストでありながら、高品質な映像を生み出す可能性を秘めています。ただし、特定のツールに依存しすぎるリスクや、AIの制約を理解した上での試行錯誤が求められます。
Kadincheでは、今後もさらに進化するAI技術を活用し、映像制作や技術開発を含む様々な分野での新たな可能性を探求していきます。

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