昨日(2014年10月28日)、パノラマカメラであるRICOH THETAの第2世代である「m15」が発表されました。その記者発表の直後に行われた「RICOH THETA 公式ファンミーティング」に参加し、実際に実機やデモを見てきたので報告いたします。なお、一般的な製品概要等はEngadgetやITMediaに詳述されているので、ここではパノラマ動画を中心とした実機・画像を見た印象を記します。
概要は以下の通りですが、静止画の撮影性能はそのままで、パノラマ動画撮影に対応し、価格は従来より安くなり、カラーバリエーションが4色展開になっているのが主な特徴です。
・発売は2014年11月14日予定で、3万5千円程度
・ハードウェアは従来版と同様のもので、ファームウェアアップデートで新機能を実現
・パノラマ静止画に加えて、パノラマ動画の撮影にも対応
・開発者向けのAPI/SDKも発売日に公開予定
・色はホワイト、ブルー、ピンク、イエローの4色展開
・Wifi転送速度が従来の約2倍になり、スマホ連携が軽快に
やはりと言うべきか、いちはやくと言うべきか、Kickstarter等でアナウンスされている多くのパノラマ動画カメラに先駆けて、パノラマ動画対応しました。
・最大撮影時間は3分間で、それ以上撮影する場合は一度録画停止をしてから再度撮影
・撮影した動画ファイルは魚眼形状の動画が二つ並んだ状態(デュアル・フィッシュアイ)
・パソコン専用アプリで変換すると一般的なエクレクタンギュラー形式(横:縦=2:1)になる
・専用のプレーヤーで開くとぐりぐり回転できるようになる
・theta360.comというウェブにアップロード公開する際は一つのファイルあたり5MB(約10秒)が制限
・この制限はiOSの3G環境下でのダウンロード制限に合わせているそう
・解像度はおおよそ水平1920ピクセルx垂直960ピクセルで、フレームレートは15FPS
昨今のPCやスマートフォンで閲覧する分には十分な解像度と言えるでしょう。高解像度ディスプレイや今後出てくるであろう高解像度ヘッドマウントディスプレイではやや物足りなく感じる可能性はあります。実際に動画を見ましたが、カメラが2つであり、ハードウェアとして動画のフレーム間同期が取られているので、パノラマ合成も綺麗にされてました。
11月14日の発売と同時に公開されるのが開発者向けのAPI(Application Programming Interface)とSDK(Software Development Kit)です。これら開発キットでは、THETAを制御できるだけでなく、THETAで撮影した静止画のEXIF情報を取得できるライブラリも付属されているということで、THETAを用いたアプリケーション開発が容易になりそうです。PC上で動作するソフトウェア(例えばパノラマのプレーヤー等)に関することは今回は公開されないそうです。iOS・Androidの2バージョンが公開されます。
こちらのブログでは約1年前にTHETAについて触れていましたが(前編、中編、後編)、当時私たちが期待していた通りの製品が出てきたという印象です。これまではある程度の専門性がないと撮影できなかったパノラマ動画が誰でも3.5万円で撮影できるというのは大きな進化であり、また関連するネットサービスなども出てくるのではないでしょうか。ファンミーティングの登壇者からはさらなる高画質化、小型化、防水化、背面ディスプレイ、リアルタイム動画確認等に対する要望も挙げられていましたが、ますます今後のパノラマ動画やそれを囲む環境が楽しみです。