カディンチェ株式会社は、名古屋大学、東邦大学らと共に、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が実施する戦略的創造研究推進事業(CREST)「基礎理論とシステム基盤技術の融合によるSociety 5.0のための基盤ソフトウェアの創出」に、研究課題名「多様な形態の現実を安心・安全に創り・繋ぐTrusted Inter-Reality基盤」として採択されました。
本プロジェクトは、多様な形態の現実(物理現実空間、メタバース現実空間等)の安全性・信頼性をby-Designの観点で保証した上で、それらを相互接続し、様々なサービスの構築を可能とする「Trusted Inter-Reality基盤」技術の創出を目的とするものです。異なる空間同士の密接な相互作用や新たな脅威を想定し、各Realityを構成する空間の階層的なアクセス管理・セキュリティ保護が可能な実質空間の構築・接続技術の研究を通じ、次の社会の基盤となり得る新たなトラスト原則(注1)の確立を目指しています。
プロジェクト名: JST CREST「基礎理論とシステム基盤技術の融合によるSociety 5.0のための基盤ソフトウェアの創出」
研究課題名: 「多様な形態の現実を安心・安全に創り・繋ぐTrusted Inter-Reality基盤」
研究体制: 東海国立大学機構名古屋大学(研究代表) 東邦大学、カディンチェ株式会社(主たる共同研究者)
研究期間: 2022~2028年度の5.5年間
JST掲載URL: https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/application/2022/220920/220920.htmll
情報技術は、我々の現実(Reality=人生の価値観を置く場所)を物質空間からサイバーな仮想空間へと拡張してきました。近年では、人間の五感とより直結する高度なVirtual Reality(VR)技術が次々と登場し、新たな産業の創造も期待されています。一方、その高い没入体験と引き換えに、常時装着するVR機器を通じた生体・環境情報に関するセキュリティ・プライバシーリスクや、肉体・精神への侵襲的な攻撃手法の登場も懸念されています。
本研究では、様々な物質・仮想空間及びそこに存在する主体からなる多様な形態のRealityを構築し、その安心・安全な統合を実現する情報基盤技術の確立を目的としています。
本研究ではまず、拡張されたRealityにおける空間の性質、利用主体の属性等を考慮した、新たなトラスト基盤に対する要件を、多様なモダリティのReality構築・接続技術の研究開発を通じ明らかにします。その際、空間及び利用主体の同一性保証、認証、動的かつ対象粒度を適用的に変化させる暗号手法など、情報セキュリティの視点の拡張のみならず、ウェアラブルデバイス(注2)等を通じた肉体・精神の侵襲性による影響と脅威を医学的に検証し、実際の利用・運用形態を想定した人間中心のユーザブルセキュリティ技術(注3)を備える情報基盤を設計します。各研究項目を統合した基盤を「Trusted Inter-Reality基盤」と名付け、国内外の実証実験を通じ、その利便性、安全性と可用性の評価を目指しています。
注1)トラスト原則:
従来の3つのセキュリティ要素CIA(Confidentiality、Integrity、Availability)を拡張したCCA(Confidentiality、Consistency、Availability)をInter-Realityにおけるトラストの原則と置いたもの。
注2)ウェアラブルデバイス:
人間の体に装着し、5感に刺激を与えるデバイス。視聴覚の没入性を高めるVRゴーグルや、皮膚感覚フィードバックを与えるハプティックデバイス等が含まれる。
注3)ユーザブルセキュリティ技術:
ユーザの負担が軽いなどユーザにとって身近で使いやすいといった高いユーザビリティを持っているセキュリティ技術。